裁量トレードか、システムトレードか。専業で全てを失った私が選んだ道

トレードを始める人の多くは、「勝ちたい」「儲けたい」という気持ちからスタートします。私もそうでした。

でも、少しだけ立ち止まって考えてみてほしいのです。トレードの本当の目的は、「勝つこと」そのものでしょうか。

違うはずです。資産を増やし、それを自分や家族、大切な人のために使い、人生を豊かにすること。それが本当の目的のはずです。「勝つこと」は、そのための手段にすぎません。

この当たり前のことに気づくまで、私はずいぶん遠回りをしました。この記事では、私自身が裁量トレードですべてを失った経験と、そこからシステムトレードにたどり着くまでの話を交えながら、2つのトレードスタイルについてお伝えします。

目次

私が裁量トレードで失ったもの

私が投資を始めたのは2016年です。最初は個別株のデイトレードでした。しかし、日中ずっと値動きを追う生活は本業と両立できず、成績も振るいませんでした。そこで、夜でも取引できるFXに軸を移します。

もっと上手くなりたい一心で、当時人気だったトレードスクールに入り、学習に合計で50万円ほどを注ぎ込みました。毎週配信される動画を食い入るように見て、手法を学び、チャートに向かい続けました。

そしてある日、私は会社を辞めます。専業トレーダーとして生きていく。そう決めたのです。夢と希望がありました。

結果から言えば、半年で資金のすべてを失いました。

専業時代のことは、今でもはっきり覚えています。その日の収支が、そのまま生活費に直結していました。だから、損切りをした日は、夕食を抜くこともありました。負けた日にご飯を食べる資格が、自分にはないような気がしていたのです。

一時は、1ヶ月ほど安定して利益を出せた時期もありました。「これでやっていける」と思った矢先、たった1日の大きな損切りで、その1ヶ月分の利益をすべて失いました。あの時の、足元が崩れていくような感覚は忘れられません。

これが、裁量トレードの現実でした。

なぜ、勝っているトレーダーの手法を真似できなかったのか

ここで、多くの人が抱く疑問に触れておきたいと思います。「勝っている人の手法を、そのまま真似すればいいのでは?」というものです。

私も、実際にそうしようとしました。稼いでいるトレーダーから直接手法を学び、決して安くないお金も払いました。

でも、真似できなかったのです。

彼らの手法が嘘だったわけではありません。問題は、裁量トレードで勝ち続けるために必要なものが、手法そのものではなかった、という点にあります。

相場が急変した一瞬で損切りを決断する瞬発力。含み損を抱えても計画を貫ける胆力。そして、多少の負けが続いても揺るがない資金力。これらは、人によって天と地ほど違います。そして、その人固有の瞬発力・胆力・資金力の上に成り立っている手法は、他人がそっくり再現することはできません。

同じチャートを見て、同じルールを教わっても、押すボタンのタイミングも、耐えられる恐怖の量も、人それぞれ違う。だから同じ結果にはならない。裁量トレードとは、そういう「属人的」な世界でした。

私は、この事実を認めるまでに長い時間がかかりました。スタートラインに立てたのは、「自分には、億を稼ぐトレーダーのような特別な才能はなかった」と、正直に認めた瞬間からでした。

その後、私が学んだこと

資金を失った後も、得たものはありました。知識です。

私はその知識を活かし、金融機関でディーリングの仕事に就きました。約7〜8年、実際の市場と向き合う日々です。しかし、そこで痛感したのは、またしても裁量の限界でした。リスク管理の多くはすでにアルゴリズムで体系化されていて、個人の勘や度胸で継続的に稼ぐことの難しさを、実務の中で思い知らされたのです。

転機は、データにもとづくトレードとの出会いでした。感覚ではなく、統計で相場を捉える。この考え方に手応えを感じ、統計検定2級を取得し、システムトレードを本格的に学び始めました。

念のため一つ補足しておくと、私は「経済や相場の勉強なんて不要だ」と言いたいわけではありません。経済の勉強は今も続けています。ただ、いざトレードの判断を下す瞬間には、予測や思い込みを持ち込まない。頼るのは過去のデータだけ。そう決めた、ということです。

裁量トレードとシステムトレード、それぞれの正体

私の遠回りを踏まえた上で、2つのスタイルを整理しておきます。

裁量トレードとは、トレーダー自身が相場を見て判断し、売買するスタイルです。チャートの形、ニュース、直感をもとに「今だ」とポジションを取ります。勝てば大きな興奮と多幸感があり、SNSで発信すれば注目もされる。一握りの成功者は、少額から莫大な資産を築くこともあります。しかし、感情に左右されやすく、生活が相場に支配されがちで、何より再現性が低い。

システムトレードとは、あらかじめ決めたルールにもとづいて機械的に売買するスタイルです。感情が入り込まず、統計的な優位性(エッジ)にもとづくため再現性が高い。事前にリスクを見積もれるので破産しにくく、複数の戦略を組み合わせたポートフォリオも組める。失敗しても原因を分析でき、改善につなげられます。

両者の違いを、表にまとめます。

観点裁量トレードシステムトレード
判断その場の相場観・直感事前に決めたルール
感情の影響受けやすい受けにくい
再現性低い(属人的)高い(ルール化できる)
リスク管理経験と胆力に依存事前に数値で想定できる
向いている人瞬発力・胆力・資金力に恵まれた一部の人才能に頼らず着実に積み上げたい人
成功者の物語少額から一発逆転(ただし極めて稀)地味だが再現しやすい

もちろん、システムトレードにも弱点はあります。システム障害のリスク、VPS(仮想サーバー)などの運用コスト、エッジの変化に応じたメンテナンスの必要性。ただ、これらはいずれも「技術的に解決できる」課題です。感情や才能という、コントロール不能なものに勝敗を委ねる裁量とは、そこが決定的に違います。

「システムトレードは難しそう」という思い込み

こう言うと、「システムトレードなんて、プログラミングやIT知識がある人のものでしょう」と思われるかもしれません。

でも、そんなことはありません。私自身、プログラミングは初心者レベルです。

私が使っているStrategyQuantXというツールは、プログラミングなしで戦略の構築も堅牢性テストもできます。同じようなツールは他にもありますし、今はAIを活用して戦略を作ることもできる時代です。特別な才能も、高度な技術も要りません。必要なのは、正しい「型」と、それを淡々と実行する姿勢だけです。

本質に立ち返る

裁量トレードでは、いつのまにか「勝つこと」「興奮すること」が目的になっていきます。かつての私がそうでした。それは一部の才能ある人には魅力的な世界かもしれませんが、多くの人にとっては再現性がなく、「人生を豊かにする」という本来の目的から外れてしまいます。

システムトレードは、その本質に沿った手段です。感情に振り回されず、統計にもとづいて、合理的に資産形成を目指す。派手さはありませんが、才能がなくても歩んでいける道です。

私は今、この考え方で構築したポートフォリオを実際に運用し、プロップファームで資金提供の報酬を得られるところまで来ました。もちろん、うまくいかなかった挑戦もたくさんあります。その成功も失敗も、包み隠さず公開しています。

実際の運用実績(Track Record)を見る

まとめ

トレードの目的は「勝つこと」ではなく、「人生を豊かにすること」。裁量トレードには確かに魅力もありますが、長期的に、才能に頼らず安定して資産を増やしていくなら、システムトレードのほうがはるかに現実的です。

これからトレードを始める人も、裁量で行き詰まりを感じている人も。かつての私と同じ場所に立っているなら、ぜひ一度、「システムトレード」という選択肢を真剣に考えてみてください。

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