為替、株、商品、債券、暗号。全23銘柄をデータで格付けして分かった「期待値2.5倍」の衝撃

あなたが普段、取引している銘柄はどのようにして決まりましたか?

「FXから入ったので、まずはドル円やユーロドルから」 「憧れのYouTuberがその銘柄でトレードしているから」

きっと、多くの方がこうした身近なきっかけでトレードを始めているはずです。でも、もし手法を熱心に勉強する、または他の手法を探す一歩手前の「銘柄選び」の時点で、トレーディングの難易度が天と地ほど違っているとしたら、どうでしょうか?

そこで今回は、個人の主観やイメージを完全に排除して、主要なマーケットである「為替、株式指数、コモディティ、債券、暗号資産」の全22銘柄の10年間に及ぶ価格データを誰が見てもわかるように分析しました。

数字という共通の物差しで比べてみると、そこにはこれまで見えていなかった「戦いやすい戦場」の正体が隠されていることが分かります。

私たちが勝負すべきマーケットはどこなのか。あなたの想像を裏切るかもしれない、その驚きの分析結果をここから公開します。

本記事の調査対象:全23銘柄一覧
  • 【為替 (FX)】 ユーロドル (EURUSD) / ドル円 (USDJPY) / ユーロ円 (EURJPY) / ポンド円 (GBPJPY) / ユーロポンド (EURGBP) / ポンドドル (GBPUSD)
  • 【株価指数】 ナスダック100 (USA TECH) / ダウ平均 (USA30) / S&P500 (USA500) / 日経225 (JPNIDX) / ユーロ・ストックス50 (EUSIDX) / ドイツDAX (DEUIDX)
  • 【コモディティ】 原油 (LIGHT) / 天然ガス (GAS) / ゴールド (GOLD) / シルバー (SILVER)
  • 【債券】債券米国債 (US BOND) / 英国債 (UK GILT) / ドイツ国債 (GER BUND)
  • 【暗号資産】ビットコイン (BTC) / イーサリアム (ETH) / トロン (TRX)
  • 【その他】 VIX指数
目次

勝ちやすい銘柄の定義 :なぜ「シャープレシオ」が重要なのか?

本題に入る前に、まずは「勝ちやすい銘柄」とはどんなものか、その定義を揃えておきたいと思います。

トレードを経験したことがある方なら、値動きの激しい銘柄を扱った際、エントリーした瞬間に逆行したり、急な乱高下で損切りさせられたりと、判断を振り回されて精神的に疲弊した経験があるはずです。 つまり、方向性が定まらず、さらに値動きだけが激しい銘柄ほど、トレードの難易度は高いと言えます。

逆に言えば、勝ちやすい銘柄とは「価格の動きが安定していて、かつ方向性のエッジ(優位性)が強い銘柄」のことです。 私たちトレーダーが心の奥底で望んでいるのは、実は「穏やかな値動き」で「一方方向に動いてくれる」ことではないでしょうか。価格のブレが小さく、それでいて一定の方向へ進む力が強ければ、もっと落ち着いてトレードができるはずです。

実は、トレーディングの理想はとてもシンプルなのです。

そして、そんな「トレーダーの理想」を数値化したものが、投資の世界で使われる「シャープレシオ」という指標です。その計算に必要な「リターン」と「リスク」について、先に少しだけ触れておきます。

対数リターンを使った分析

今回の分析では、リターンの計算に一般的な「前日比(%)」ではなく、「対数リターン(ログリターン)」というものを用いています。 聞きなれない方もいるかもしれませんが、単純な%計算だと数字に「ズレ」が生じてしまうからです。

例えば、10万円の銘柄が前日比で「マイナス10%」になったとします。価格は9万円です。翌日、今度は「プラス10%」になったとします。10%下がって10%上がったのだから、元の10万円に戻りそうな気がしますよね?ですが、実際には9万円の10%増なので、9万9千円にしかなりません。

このように、単純な%計算ではプラスとマイナスの動きを正しく比較することが難しいため、10年という長期データを公平に評価するために「対数リターン」を採用することで、この問題を解消しています。

トレードにおける「リスク」の概念

ここで、「リスク」という言葉の認識も再確認しておきましょう。一般的にリスクというと「危険なもの」というイメージがありますが、トレードの世界では「価格のブレ幅(標準偏差)」のことを指します。

左:リスク(標準偏差 or 価格のブレ幅)が小さい_右:リスク((標準偏差 or 価格のブレ幅)が大きい

価格が上に跳ねるのも、下に落ちるのも、その「揺れ」の大きさはすべてリスクです。つまり、リスクが小さい銘柄ほど、私たちのメンタルをかき乱す「予期せぬノイズ」が少ない銘柄と言い換えることができます。

算数でわかる「勝ちやすさ」の計算

この「勝ちやすさ」は、実はとてもシンプルな割り算で比較できます。

「リターン(方向性・優位性) ÷ リスク(ブレの大きさ)」

例えば、同じ「10」というリターンで、リスクの違う銘柄があった場合、以下のように比較できます。

  • 銘柄A: リターン 10 ÷ リスク 5(大) = 2.0
  • 銘柄B: リターン 10 ÷ リスク 2(小) = 5.0

同じリターンが得られるなら、当然リスク(ブレ)は小さいほうがいいですよね。つまり、この場合は銘柄Bのほうが「圧倒的に有利なマーケット」と言えます。

この計算結果をシャープレシオと呼び、数字が大きければ大きいほど、「リスクの割にリターンが効率よく得られる = トレーダーにとって勝ちやすい銘柄」ということになります。 今回は、この「シャープレシオ」という共通の物差しを使って、全23銘柄の優劣をはっきりとつけていきたいと思います。

【全23銘柄】リスク・リターン特性マトリクス

お待たせいたしました。それでは、全22銘柄の「リターン(平均収益)」を縦軸に、「リスク(価格のブレ)」を横軸に配置した、10年間の集大成となる散布図をご覧ください。

グラフの左下は多くの銘柄が密集しているため、まずは中央から右側の「リスクの大きい銘柄」を例に、この図の見方を解説します。

例えば、中央付近にある(左)原油(右)天然ガスに注目してください。 この2つはリターンがほぼ同じですが、天然ガスのほうが右側(リスク大)に位置しています。つまり、同じ利益を狙うにしても、天然ガスのほうが「激しい揺さぶりに耐える必要がある」ということです。この記事の定義で言えば、より「勝ちやすい」のは原油の方だと言えます。

次に、右側の暗号資産エリアを見てみましょう。 ETHとTRXを比較すると、リスクはほぼ同じですが、TRXのほうが高いリターンを叩き出しています。同じリスクを取るなら、より高い収益が見込めるTRXに軍配が上がる、というわけです。

さらに重要なのが、左下の「0」の地点から右上に向かって伸びる2本の点線です。

  • 上の線: シャープレシオ 1.0(非常に優秀)
  • 下の線: シャープレシオ 0.5(優秀)

先ほどの原油、天然ガス、ETH、TRXはいずれも「0.5のライン」を下回っています。しかし、BTC(ビットコイン)だけはこのラインの間に位置しています。つまり、これらハイリスク銘柄の中で、最も投資効率が良く「勝ちやすい」のはBTCであるということが分かります。

それでは、多くの銘柄が集中していた「左下」のエリアを拡大して、その中身をさらに詳しく確認していきましょう。

拡大して見ると、驚きの事実が判明しました。 シャープレシオ0.5のラインをしっかりと超えているのは、米国の主要株価指数3種、貴金属(ゴールド・シルバー)、そして先ほどのBTCだけだったのです。

こうして俯瞰してみると、私たちが普段戦っているマーケットの特性が一目瞭然ですね。 それでは、この結果をさらに詳細な数値で確認するため、「シャープレシオ・総合ランキング」を作成しました。

シャープレシオ・総合ランキング(全23銘柄)

10年間のデータを元に算出した、銘柄別の「勝ちやすさ」ランキングです。

また、散布図でリターンが0を下回っていた銘柄(債券、VIX、GBP/USD)については、「ショート(売り)」にエッジがあるものとして、その絶対値を順位に反映しています。

順位銘柄名エッジ方向リターンリスクシャープレシオ
🥇 1GOLD (金)Buy0.110.130.85
🥈 2USA TECH (ナスダック100)Buy0.140.200.68
🥉 3BTC (ビットコイン)Buy0.460.700.68
4USA500 (S&P500)Buy0.100.160.60
5USA30 (ダウ平均)Buy0.080.160.52
6SILVER (銀)Buy0.130.260.52
7TRX (トロン)Buy0.410.880.47
8JPNIDX (日経225)Buy0.080.190.43
9UK GILT (英国債)Sell-0.040.100.41
10DEUIDX (ドイツDAX)Buy0.070.170.38
11GER BUND (ドイツ国債)Sell-0.020.070.36
12EURJPYBuy0.030.080.35
13EUSIDX (ユーロ50)Buy0.060.190.29
14USDJPYBuy0.020.080.26
15ETH (イーサリアム)Buy0.220.880.25
16US BOND (米国債)Sell-0.020.100.24
17EURGBPBuy0.010.070.21
18VIX (恐怖指数)Sell-0.140.740.19
19GBPJPYBuy0.010.100.14
20EURUSDBuy0.010.070.10
21GBPUSDSell-0.010.080.09
22LIGHT (原油)Buy0.030.410.08
23GAS (天然ガス)Buy0.040.530.07
※データの取り扱いについて 調査期間は原則として直近10年間としていますが、暗号資産や一部の債券など、ヒストリカルデータが10年に満たない銘柄があったため、公平に比較する「年率換算」した数値で比較しています。また、小数第3位以下を四捨五入しています。

ランキングの結果をご覧になって、どう感じられましたか?

私がここでお伝えしたいのは、「なぜゴールドが上がったのか」「なぜ米国株が強いのか」といった、理由を後付けすることではありません。それはあくまで結果論に過ぎないからです。

重要なのは、「過去10年、これらの銘柄には明確にこの数値通りの傾向(優位性)が存在した」という事実です。

ゴールドが1位であり、米国株指数が上位を独占し、逆にエネルギー銘柄や一部の為替ペアが極めて効率の悪い数字を出している。だからゴールドや米国株指数を取引し、エネルギーや為替は取引しない。トレーディングの本質はいつもシンプルなのです。

これまで優位性が証明されてきた銘柄の傾向を利用し、「期待値の高い戦場」で淡々と戦略を構築していくことこそが、データに基づいたトレードの真髄です。

カテゴリ別に見るリスク・リターンの特性

単独銘柄のランキングからもう一歩踏み込んで、今度はマーケットのカテゴリ単位でランキングを作成しました。個別の銘柄選び以上に、実は「どのジャンルを主戦場に選ぶか」が勝敗を大きく左右します。

カテゴリの分類
  • 【為替 (FX)】 ユーロドル (EURUSD) / ドル円 (USDJPY) / ユーロ円 (EURJPY) / ポンド円 (GBPJPY) / ユーロポンド (EURGBP) / ポンドドル (GBPUSD)
  • 【株価指数】 ナスダック100 (USA TECH) / ダウ平均 (USA30) / S&P500 (USA500) / 日経225 (JPNIDX) / ユーロ・ストックス50 (EUSIDX) / ドイツDAX (DEUIDX)
  • 【コモディティ】 原油 (LIGHT) / 天然ガス (GAS) / ゴールド (GOLD) / シルバー (SILVER)
  • 【債券】債券米国債 (US BOND) / 英国債 (UK GILT) / ドイツ国債 (GER BUND)
  • 【暗号資産】ビットコイン (BTC) / イーサリアム (ETH) / トロン (TRX)
  • 【その他】 VIX指数
順位カテゴリシャープレシオ(平均)
🥇 1株価指数 (Stock)0.48
🥈 2暗号資産 (Crypto)0.46
🥉 3コモディティ (Commodity)0.38
4債券 (Bond)0.38
5為替 (FX)0.19
6その他 (VIX)0.19
小数第3位以下を四捨五入しています。

例えば、トレーダーに人気の為替(FX)と、最も効率が良い株価指数を比べてみてください。データが示す期待値には2.5倍以上の開きがあります。

もしあなたが「なんとなく馴染みがあるから」という理由だけで為替を選んでいるとしたら、それは自ら進んで「2.5倍難しいゲーム」に挑んでいるのと同じです。

自分の好みではなく、データが証明した「勝ちやすい戦場」を冷静に選ぶ。この「入り口の判断」こそが、トレーディングにおいて最も重要であり、トレーディングの成果に大きく影響を与える要素になります。


まとめ:期待値の上に戦略を築く

10年間の膨大なデータから導き出した答えは、非常にシンプルでした。

相場の世界に「絶対」はありませんが、「どのが勝ちやすい戦場か」という期待値の差は、数字としてはっきりと表すことができます。

私たちは、特定の銘柄で勝つために相場にいるのではありません。勝ち負けを繰り返しながらも、「期待値」によって資産を拡大させるためにトレードをしているはずです。それならば、データに基づいた「有利な戦場」で淡々と戦略を構築していくのが、一番合理的でシンプルな選択肢だと思いませんか。

今回の分析で、データに基づいた「有利な戦場」を選ぶ重要性は、十分にお伝えできたかと思います。

しかし、期待値の高い銘柄選びはトレーディングのスタート地点です。その有利なフィールドで、どのようにトレードに落とし込んでいくのか。

トレーディング戦略を具体的にどう構築していくのか。 その「構築手順の第一歩」から順を追ってまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。

トレーディング戦略の構築手順①へ

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次